パントは、小舟のことですよね。punt と書いて「パント」と訓みます。
パントの特徴は、平底です。舟の底が尖っていない。ですから浅瀬でもすいすい入って行けるわけですね。つまりパントは、「平底舟」のことであります。。
平底舟が出てくる小説に、『青べか物語』があります。
1960年に、山本周五郎が発表した読物です。
「べか舟というのは一人乗りの平底舟で、多く貝や海苔採りに使われ、笹の葉のような軽快なかたちをしてい、小さいながら中央に帆桁もあって、小さな三角帆を張ることができた。」
所は、「浦粕町」になっています。それで主人公は、その平底舟を買うのですね。「三と五十で」。これは350円の意味なのでしょうか。3500円なのでしょうか。
山本周五郎はいっさいの文学賞をすべて辞退した作家。でも、山本周五郎の没後、「山本周五郎賞」が作られたのは、ちょっと皮肉でもありますが。
平底舟が出てくるミステリに、『スリープ村の殺人者』があります。1940年代に、ミルワード・ケネディが発表した物語。
「やや大ぶりな箱舟が一隻と………」
ここでの原文は、「パント」になっています。
また、『スリープ村の殺人者』には、こんな描写も出てきます。
「頭にはパナマ帽 ー かなり派手な汚れがボートの男の目を引いた………」
パナマ帽の古典スタイルに「オプティモ」があるのは、ご存じの通り。
これはラテン語の「オプティムス」oputimus と関係のある表現なのです。その意味は、「最高」。
もともとはパナマ港での船積みの際、中央で折畳んだ名残りなのです。
どなたか最高のパナマを作って頂けませんでしょうか。