シャンデリアとシルク・ギャバディン

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シャンデリアは、吊下げ式の燭台のことですよね。
chandelier と書いて、「シャンデリア」と訓みます。英語としては、1663年頃から用いられている言葉なんだそうです。
シャンデリアはラテン語の「カンデラブルム」candēlābrum
が語源であるという。その意味は、「蝋燭立て」。少なくとも古代ロオマ時代にも、なんらかの蝋燭立てがあったのでしょう。
今のような吊下げ式の燭台は、十六世紀から多く使われるようになったんだそうですね。おそらく貴族の威厳のためであったものと、思われます。
つまり客人に誇るための照明として発達したのでしょう。ヨオロッパにはヨオロッパの照明があるように、日本には日本の照明があります。。
日本の照明。もしこれを理解しようとするなら、『陰翳礼讚』を読むのが、はやいかも知れません。昭和八年に、谷崎潤一郎が書いた随筆。今からざっと百年前の文章ではありますが。

「で、折角其を楽しみにして来たのであるから、燭台に替へて貰つたが、その時私が感じたのは、日本の漆器の美しさは、さう云ふぼんやりとした薄明りの中に置いてこそ、始めてほんたうに発揮されると云ふことであつた。」

これは谷崎潤一郎が京都の「わらんじや」に行った時の話として。ここは以前、燭台で食事させる店で。それが去年から電灯に変っているので、谷崎が燭台に代えてもらった話なのです。
シャンデリアにも佳さがあり、燭台にも佳さがある、ということなのでしょうか。
シャンデリアが出てくる小説に、『夜のドン・キホーテ』があります。1966年に、テネシー・ウィリアムズが発表した物語。

「………天井から石膏の粉がブリッジのゲームをしている上に一面に降りそそぎ、シャンデリアが振り子のように揺れた………」

また、『夜のドン・キホーテ』には、こんな描写も出てきます。

「夜の散歩のときに身にまとうものといえば、絹のギャバジン仕立ての濃いブルーのタキシードだけだった。」

これは、「ゲウィンナ・ピアス」の着こなしとして。
いいなあ、ダーク・ブルウの、シルク・ギャバディン。
どなたかシルク・ギャバディンでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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