チーズとアーガイル

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チーズは美味しいものですね。
チーズはいろんな時に、いろんなふうに愉しめるのも、いいですね。

「戦後、豊かな時代になってから、私はウイスキーの肴にチーズを食うようになった。」

近藤啓太郎著『素朴な味』には、このように書いています。近藤啓太郎がとくにお好きだったのが、オランダのエダム・チーズ。
近藤啓太郎は少年のころ。お母さんからおやつ代わりに、チーズを食べさせてもらった。それがエダム・チーズだったんですね。
大人になってから。昔食べたエダム・チーズの味を探すのに、苦労したとも、書いています。少年のころの味の記憶には、よくそんなことがあるみたいですね。
数多いチーズのなかに。エポワスというのがあります。フランス、オート=マルヌ県、エポワス村で造られるチーズ。エポワスは切って食べる、というよりも、スプーンですくって食べるにふさわしいものでしょうね。
エポワスの歴史は、十六世紀のはじめにさかのぼるんだとか。エポワスの味は、一度食べたら、一生忘れられないものがあります。食通の王、ブリア=サヴァランは、「エポワスはフロマージュの王」と言っています。
エポワスが出てくるミステリに、『白い迷路』が。2012年に、ジェイムズ・トンプソンが発表した物語。

「シャウルスやエポワスといったチーズ、パテ、フルーツ・プリザーブ、鳥獣肉やハム、シャレー種の牛肉……」

これはフィンランド南西部の町、トゥルクの食料品店、「ラ・キュイジーヌ」での様子。もちろん、フランスの食料品店なんですね。この店の主が、マルセル・ブランと、ティエリ・ジラールのふたり。ティエリ・ジラールはなにを着ているのか。

「ティエリは、オックスフォードのボタンダウンシャツにアーガイルのセーター。」

さて、アーガイルのスェーターを着て。美味しいチーズを食べるとしましょうか。

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