スカートとスモーキング

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スカートは、女の人の衣裳ですよね。ふつう男はズボン、女はスカートということになっています。
スカート skirt は、1325年頃からの英語なんだとか。これは古代英語の「スキルタ」skyrta から出ているらしい。「短い服」の意味。
同じようにスキルタに由来するのが、「シャート」shirt。
つまり言葉の上では、シャツとスカート、親戚なんですね。
スカートではなくて、「スカール」skirl。スカールはバグパイプの音色のことなんだそうです。革袋に空気を溜めておいて、ここから音を出す。そのヒュウヒュウと鳴る音のことを、「スカール」。
そういえば、バグパイプは、キルトと関係があります。たいていはスコットランドの民族衣裳に身を包んで、演奏しますからね。
キルトはもともと、一枚の布だったという。一枚の布を身体に巻きつける衣裳だったのです。
そのスコットランド衣裳の着付けのはじまりが、スカート部分。襞を取りながら、腰に巻く。それから上半身を覆って、左肩の前で、大きく結んで、完成。それがもともとのスコットランド衣裳だったと伝えられています。

スカートが出てくるミステリに、『メグレと若い女の死』があります。
1954年に、ジョルジュ・シムノンが発表した物語。

「………初期のサイレント映画のように人々が突然急いで歩き出し、女はスカートを持ちあげた。」

これはパリの、サン・ミッシェル橋の上での光景。突然に雨が降りはじめたので。
また、『メグレと若い女の死』には、こんな会話も出てきます。

「たとえば、男の人ははっきりとした理由がなければスモーキングや燕尾服を着ようとは思わないでしょう。若い娘の場合は違います。」

これはメグレ夫人が、メグレに対しての言葉として。
男の燕尾服と、女のドレスの違いについて語られる場面なんですね。
ここでの「スモーキング」が、ディナー・ジャケットであるのは、言うまでもありません。日本でいうところの、タキシード。
燕尾服の略装としてのディナー・ジャケットは、1870年代の英国に誕生しています。
ラウンジ・ルームでの一時的な略装。ラウンジ・ルームはまた、スモーキング・ルームでもあって。ここからフランス語の「スモーキング」が生まれたのでしょう。
どなたかフランスふうのスモーキングを仕立てて頂けませんでしょうか。

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