井伏鱒二とイヴニング・ドレス

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井伏鱒二は、日本の作家ですよね。代表作は、『駅前旅館』でしょうか。『駅前旅館』は小説としても人気だったのですが。後に映画化されて、拍手喝采。毎年、恒例の映画にもなったほどです。
井伏鱒二には、多くの小説があります。柔らかい小説もあれば、堅く、深い小説もあります。『黒い雨』などは純文学の代表選手でしょう。
その井伏鱒二が、昭和二十四年に発表した物語に、『本日休診』があります。。
東京、蒲田の「三雲病院」が、しばらく休みにするという設定になっています。
三雲病院の院長が、三雲八春。三雲病院は、蒲田駅前から「北へ三丁」と説明されているのですが。

「………鶏卵とか卵とか書かないで庶民的に「地玉子アリ」と書いてゐる。」

『本日休診』には、そんな一節が出てきます。箕島邸の入口に。
昭和二十年代には、卵が貴重品だったのでしょう。

井伏鱒二には、翻訳もあります。井伏鱒二は、『ドリトル先生航海記』の翻訳もあるのです。
原著は1920年に、ヒュー・ロフティング作として、世に出ています。

「きみのおとうさんは、これを四年前に作ってくれたが、わしはそれ以来、ずっとはいておる。たいした靴だ。」

これはドリトル先生が、スタビンズ少年に向かっての科白。スタビンズのおとうさんは腕の立つ靴職人だったのです。

「ストーブの火できみの着物がかわくまで、わしのお古を着てなくちゃいけないよ。」

この「お古」は原文では、「イヴニング・ドレス」になっています。
なにしろ1910年代の物語ですからね。当時の紳士は夜には、例外なく燕尾服を着たものです。
どなたか1910年代のイヴニング・ドレスを再現して頂けませんでしょうか。

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