マントとマッキントッシュ

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マントは、外套のひとつですよね。「袖無外套」であります。その意味ではケープにも似ているでしょう。
もともとはフランス語の「マントオ」 manteau にはじまっているんだとか。「マントオ」はフランスふう、「マント」は日本語ふうということなのでしょうか。

「………三日目の暮れ方に、かわうその襟の着いた暖かさうな外套を着て、突然坂井が宗助の所へ遣つて来た。」

明治四十三年に、夏目漱石が書いた小説『門』に、そのような一節が出てきます。
夏目漱石は、「外套」と書いて、「マント」のルビを添えてあります。この時の「坂井」が、マントを羽織っていたことが分かるでしょう。
事実、明治、大正には、今よりずっとマントが流行ったものです。ひとつには着物の上からでも、重ねられたので。

「………灰色づくめの小さなおばあさんにもどると、いたずらっぽく目を輝かせながら、旅のマントを持って来るように言いました。」

1875年に、D・M・M・クレイクが発表した小説『旅のマント』に、そのような一節が出てきます。
『旅のマント』は、幻想小説ですが、十九世紀にも大いにマントが愛用されたのは、間違いないでしょう。

マントが出てくる小説に、『ジェゼベルの死』があります。1949年に、クリスチアナ・ブランドが発表したミステリ。

「騎士たちは長い裾をひらつかせながら、アーチを通って舞台からひっこみ………」

また、『ジェゼベルの死』には、こんな描写も出てきます。

「………雲一つない空模様だというのにばか長いマッキントッシュを腕にかけ………」
これは「ブライアン・タイムズ」という人物の着こなしについて。
ここでの「マッキントッシュ」は、ゴム引きの外套のことに外なりません。
マッキントッシュ Mackintosh は、商標名。そもそものマッキントッシュを発明したのは、スコットランド、グラスゴーの化学者、「チャールズ・マッキントッシュ」。ただし、姓名のほうは、「Macintosh」と綴るんだそうですが。
どなたか防寒をも兼ねたマッキントッシュを仕立てて頂けませんでしょうか。

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