カタログと開襟

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カタログは、型録のことですよね。catalogue と書いて、「カタログ」と訓みます。英語としては、1450年頃からの言葉なんだそうです。
英語のカタログは、ラテン語の「カタログス」catalogus と関係があるとのことです。その意味は、「詰め込む」であったという。
日本語の「型録」は、倶楽部と並ぶ名訳でしょう。音も意味もちゃんと揃っている点においても。
カタログが出てくる小説に、『混沌未分』があります。これは岡本かの子が、昭和十一年に発表した短篇。

「それでアドレスや請求文を書いて、父はイギリスの織物会社から頻りにカタログを取り寄せた。」

物語の主人公は、「小初」。小初のお父さんは水泳教室の先生という設定。水泳教室のかたわら、副業としてイギリスのカタログが必要だったのです。
小初もまた、水泳教室の先生を目指しているのですが。この小初には、実際の岡本かの子が投影されているとのこと。岡本かの子はそれくらいに、水泳が得意だったそうですね。

カタログが出てくる小説に、『スマトラに沈む』があります。1965年に、作家の陳 蕣臣が発表した探偵小説。
物語の背景は、戦前のスマトラにおかれているのですが。

「大津は日本製自転車のカタログをひろげていた。」

「大津」は物語の主人公。ある人物の調査に、スマトラの自転車屋を訪ねている場面。
また、『スマトラに沈む』には、こんな描写も出てきます。

「白い開襟シャツが、いかにも清潔そうに見えた。」

これは自転車屋の息子の青年の着こなし。
開襟シャツが、オープン・カラーのシャツであるのは、言うまでもないでしょう。
どなたか白麻の開襟シャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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