牡蠣とカシミア

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牡蠣は、オイスターのことですよね。「オイスター・バア」の言い方もありますように。
また、おしゃれ語には「オイスター・ホワイト」があるでしょう。牡蠣の色のような白さ。レインコートにもよく使われる色であります。
広くはオフ・ホワイトのひとつなのでしょう。牡蠣の中の身質の色を想わせるからかと思われます。
「オイスター」を形容詞にいたしますと「無口」の意味にもなるんだそうですね。たしかに牡蠣の口はぴったりと閉ざされていますから。

「牡蠣はRのついている月に食べること」。そんな言い方もあるらしい。
たとえばaugustにはRが含まれていません。が、september にはRが付きます。第一、oyster
にはRが添えられるのですから、説得力があります。
牡蠣の殻は、漢方薬なんだとか。牡蠣の殻を干して、細かく砕いたものには、制汗作用があるんだそうですね。殻が薬になるくらいですから、牡蠣の中身には、栄養があります。ヴィタミンAと鉄分、そして亜鉛とが含まれているのでです。牡蠣を食べるのは、健康の素かも知れません。
生牡蠣によく合うのが、白ワイン。これは単に「合う」という問題ではなくて、白ワインの殺菌効果をも期待できるのです。生牡蠣を白ワインと共に頂くと、決してあたることがない。私は勝手にそのように信じています。

牡蠣が出てくるミステリに、『震えるスパイ』があります。2006年に、イギリスの作家、ウィリアム・ボイドが発表した物語。
ただし、物語の背景は主に1939年の巴里におかれているのですが。

「なるほどルーカス・ローマは、どうしたら牡蠣がおいしく食べられるかを教えてくれた。」

これは女主人公「エヴァ」が、ローマーにスパイとしてスカウトされる場面。場所は巴里のレストラン「ティール・ブション」でのこと。ティール・ブションはワインの栓抜の意味なんだとか。
牡蠣をおいしく食べる方法とは。エシャロットのみじん切りに、ワイン・ヴィネガーを添えるやり方だったのですが。
また『震えるスパイ』には、こんな描写も出てきます。

「オリーヴ・グリーンの地にチャコールのチェック柄、生地はカシミアらしい。」

これは「ユーグ」という男の着こなしとして。そしてなお、すぐ後にこんな文章も出てきます。

「しかし、実を言うとわたしは、これほど上等で仕立てのいい服をスマートに着こなしている同国人にはこれまで出合ったことがない。」

イギリス人の目から観てのイギリス人の着こなしして。うーん、そんなふうでありたいものですが。
どなたかカシミアの上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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