紅茶と木型

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紅茶は美味しいものですよね。
イギリスではたいてい、ミルク・ティーで飲むんだそうですが。この時、ミルクが先かティーが先かで、論争がはじまることも。愉しいではありませんか。
ふつうイギリスでの紅茶は、濃い。この濃い紅茶のことを、「スプーンが立つくらい」なんて表現することもあって。ますます、愉しい。
紅茶を飲むにはミルク入れがあって、スプーンがあって、ポットがあって。なにかと道具が多い。この道具のひとつに、ドイリーがあります。
ドイリーはナプキンであるような、ないような、小さな、布製の、敷物。ドイリーは上品な家ではどこの国でも使います。が、そのはじまりは、英国なんだそうですね。
ドイリー doily にはいくつかの綴りがあるらしくて。もともとは D’Oyley と書いたそうです。ロンドンの生地商、「ドイリー」がそれをはじめたので。十七世紀末のこと。
ドイリーでの最高級品は、ダマスク。ダマスク織。美しい紋柄が浮かび上った布地。ダマスクは十三世紀、シリアのダマスカスから伝えられたものという。ダマスク織が出てくるミステリに、『メキシコ・セット』があります。『メキシコ・セット』は、レン・デイトンの名作。

「フルーツタルトを食べる純銀のフォークや、口をぬぐうダマスク織の小さなナプキンなどはすべて………」。

これは物語の主人公が、午後の珈琲を味わう時の様子。また、こんな場面も。

「クリーム色の男ものの麻のスーツ、明るい色のズボンやセーター、型崩れを防ぐために木型をはめ、"PB" のぬいとりのある靴袋におさめられた手作りの靴……」。

これは主人公の幼なじみ、ポール・ゼーダマンのクローゼットなんですね。やはり靴には木型が欠かせないのでしょうね。

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