ピアノとピン・カラー

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ピアノの音色は人の心を慰めてくれますよね。どんなに猛る想いがあったとしても、ピアノの音を聴くと、安らかに、穏やかに。不思議なほどであります。
ピアノの歴史は古いといえば、古い。新しいといえば、新しい。それというのも、ピアノ以前に鍵盤楽器は少なくなかったから。たとえば、「クラヴィツィテリウム」だとか、「クラヴィコード」だとか、「チェンバロ」だとか。「クラヴィツィテリウム」は、1490年頃には、すでに登場していたそうですね。
ピアノは音楽を創る名器。なぜなら、優れた作曲家はたいてい優れたピア二ストでもあるからです。バッハ、ハイドン、モオツアルト………。モオツアルトが1775年に、公開の場で「ピアノフォルテ」を、演奏。アルベルト邸で。その時、皆、モオツアルトのピアノフォルテに、酔った。しかし。モオツアルトはそのほとんどが、初見であったという。天才の天才たるゆえんなのでしょう。
今、ごくふつうにピアノといえば、スタインウェイを指すことが多いものです。ハインリッヒ・エンゲルハルト」・シュタインヴェークが、はじめてピアノを作ったのは、1825年のこと。自宅の台所で。
ハインリッヒの息子、カールがアメリカに亡命したので、名前を「スタインウェイ」と改めたのです。
世界にピアノ・メーカーの数は多い。「ボールドウイン」だとか、「ベーゼンドルファー」だとか、「チャーレン」だとか。でも、世界のいかなるピアノ・メーカーであっても、喜ばせる言葉はただひとつ。「あなたのところのピアノはまるでスタインウェイのような美しい音色ドルすね。」
ハードボイルドでピアノを奏でようとした作家が、ロバート・B・パーカー。ロバート・B・パーカーが、2004年に発表したのが、『背信』。この中に。

「注文仕立ての褐色のサマー・スーツにピン・カラーの紺色のシャツ、淡い紺のタイを締めている。」

これは、「キナージイ社」の代表、トレントン・ロウリイの着こなし。「ピン・カラー」は、ピンド・カラーとも。また、「アイレット・カラー」とも。
襟の中ほどに小穴があって、ここにピンを通して、留める。タイの結目を盛り上げてくれる効果もあります。そのためのピンが、「カラー・ピン」。富豪のためのゴールド製なら、ピアノが買えそうな値段であったりするのですが。

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