イコンとイエロオ

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イコンは、聖像のことですよね。キリスト教信者にとって、信仰の対象となっていること、いうまでもないでしょう。
イコンは、イエス・キリストの慈しみを示す絵、言ったらちょっと乱暴かも知れませんが。とにかくキリストの慈愛が描かれていることは、その通りであります。
イコンがあるということは、それを描く絵師がいたわけで。たとえば、中世のロシアにも、イコン絵師がいたという。
アンドレイ・ルブリョーフ。フェオファーン・グレク。ダニール・チョールヌイ……………………。
アンドレイ・ルブリョーフは、1370年頃の生まれだと考えられています。ということは中世のロシアにもすでに、イコンがあり、イコン絵師がいたのでありましょう。
イコンが出てくる小説に、『ソフィアの秋』があります。五木寛之の名作。

「どうだ、ロシア・イコンの傑作だと思うんだが、きみ、ひとつ鑑定してみてくれんか」

これは物語の主人公と、友人の筑波五郎との、会話。主人公はそのイコンを、早稲田の喫茶店、「ミネルバ茶房」の主人、影山真陽からもらったものらしい。
イコンが出てくる手紙に、サルトルの書いたものがあります。

「彼らは例外なく寝室の奥にイコンを、聖人の画像とか聖母の小彫像とかを持っていて………………………」。

これはボーヴォワールに宛てた手紙の一節。また、別の手紙には。

「それから一時間後にズオールが奇妙な黄色いシャツ、一面に鳥を散らしたネクタイといういでたちで………………。」

「ズオール」とは、サルトルの友人で、教授の、ズオロのことであるらしいのですが。これらの手紙は、今、すべて『女たちへの手紙』に収められています。
イエロオのシャツを、今すぐ着ようとは思いません。が、「鳥を散らしたネクタイ」には、興味あります。ことにそれが精巧なジャカード柄なら。
たぶん私のイコンにもなってくれるでしょう。

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