エメラルドは、宝石のひとつですよね。日本語では、「翠玉」ともいうらしい。美しい緑色をしていますからね。
🎶 湖は色を変えたのさ
君の瞳のエメラルド……………。
たしか、『エメラルドの伝説』という歌があったような記憶があります。なかにし礼の作詞。村井邦彦の作曲。
なかにし礼には、『エメラルドの伝説』と題する随筆集もあります。まあ、たしかに、「エメラルド色の瞳」という形容はある。
昔のインドの伝説に、『エメラルド色に映える池と黄金像』というのがあります。
「………その泉の脇に巨大なエメラルド原石の一枚岩があって……………。」
物語はそのようにはじまります。そして。
「………そのエメラルドの岩のところに日が指すと、エメラルドの美しい緑に映えて、泉全体が緑色に変わる。」
うーん。一度ぜひ、見てみたいものですが。
エメラルドが題につくミステリに、『エメラルド色の色』があります。1950年代に、英国の作家、エリック・アンブラーが発表した物語。
「エメラルド色の空です。その空は、見事な美しいエメラルド色だった……………。」
これは、「メドレイ夫人」が描いた絵を観ての感想として。この「エメラルド色の色」は、何度も繰り返して出てきます。
「………今度は妙子がエメラルド色のオイルシルクの雨外套を着、護謨靴を穿いて出かけようとした際にも……………。」
谷崎潤一郎の傑作、『細雪』の一節にも「エメラルド色」が出てきます。
「オイルシルク」はもちろん生地の名前。薄くオイルを張った絹地なので、「オイルシルク」。いうまでもなく防水地として用いられたものです。
エメラルドが出てくる小説に、『恋愛対位法』があります。オルダス・ハックスリイが、
1928年に発表した長篇。
「指輪のエメラルドが部屋を横切って緑の信号をピカリと彼に送った。」
ああ、そんな使い方もあるんですね。これは、「ベタトン夫人」の仕種として。
また、『恋愛対位法』には、こんな描写も出てきます。
「あの古いイヴニング服は、エドワード卿夫人の派手な世界に何度か乗り出して行った時にそう気がついたが……………。」
これは自分の「イヴニング服」が見窄らしいのではないかと、気にしている場面。おそらく、燕尾服のことなのでしょう。正しくは、「イヴニング・ドレス」と呼ばれるものです。
夜間の正装。「ホワイト・タイ」とも。仕立てる側としては、燕尾服ほど難しい服はありません。前ボタンを留めることなく、完全にフィットしていなくてはならないのですから。
どなたか燕尾服を仕立てて頂けませんでしょうか。