フォアグラとフラット・キャップ

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フォアグラは、世界三大珍味のひとつですよね。あとは、キャヴィアに、トリュッフでしょうか。
フォアグラのサンドイッチは夢のまた夢です。二枚のパンの間に、パンと同じ厚さのフォアグラを挟んだだけのサンドイッチは、たぶん富豪気分を味わえることでしょう。

「楽屋へ、バルベ氏のタイピスト嬢が、フォアグラの罐詰一つ届けて呉れた、有がたい。」

昭和十四年の、『古川ロッパ昭和日記』に、そのような一節が出てきます。三月十八日(土曜日)のところに。

フォアグラの歴史は、紀元前2500年頃の、古代エジプトにはじまると、考えられています。では、どうやって肝臓を大きく太らせたのか。いちじくで。
当時の古代人は、鴨などにたくさんのいちじくを食べさせると、肝臓が大きくなることを識っていたらしい。
古代ギリシアの詩人、ホメロスもまたフォアグラを食べたのではないでしょうか。
それというのもホメロスの『オデュッセイア』にフォアグラの話が出てくるのですから。
オデュッセイアが家に帰ると、妻の「ペネロペ」が言う。
「私、二十羽の太ったガチョウがやって来る夢を見たの」

ここでの「太ったガチョウ」の意味は、フォアグラを指してのことではないでしょうか。
フォアグラが大好きだったお方に、ロッシーニがいます。イタリアの偉大な作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニ。
ロッシーニのために、エスコフィエが考案した料理が、「ロッシーニ風ステーキ」。「トゥルヌド・ロッシーニ」。
それは子牛のステーキで、上にフォアグラをあしらったひと品。フォアグラの上にさらにトリュッフを飾るというのですから。

フォアグラが出てくる小説に、『エドワーディアン』があります。1930年に、ヴィタ・サックヴィル=ウェストが発表した歴史小説。

「鶉のなかには頭青頬白を詰め、頭青頬白のなかにはトリュッフ、そしてそのなかにはフォアグラのパテが詰められていた。」

なんとまあ、凝った料理なのでしょうか。
また、『エドワーディアン』には、こんな描写も出てきます。

「ツイードのフラット・キャップをかぶり、茶色く丈の長い厚い平織り布の旅行用外套を着ていた。」

これは公爵夫人の旅立ちの着こなしとして。
「フラット・キャップ」flatcap。これは一枚天井のハンティングのことでしょう。
どなたかフラット・キャップを再現して頂けませんでしょうか。

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