ウイリアムとウエイストコート

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ウイリアムは、わりあいと多い名前ですよね。たとえば、ウイリアム・テルだとか。ウイリアム・テルは伝説的な弓の名人。
「伝説的」とは微妙な表現でありまして。世間ではウイリアム・テルを実在の人物だと思っている人が少なくありません。一方、研究家の間でははっきりと「伝説上の人物」だと考えられています。
それにしては。ウイリアム・テルが息子の頭の上のりんごを射抜く場面。あれは1307年11月18日のことと、奇妙にも生々しいのですが。
一般にウイリアム・テルは、ドイツの劇作家、シラーの戯曲によるものとされています。シラーが戯曲『ウイリアム・テル』を完成させたのは、1800年頃のことであるらしい。シラーの『ウイリアム・テル』は力作で、上演するとざっと五時間。
『ウイリアム・テル』がワイマール宮廷劇場で初演されたのは、1804年3月17日のこと。舞台は、スイス。それでスイス人はことに「ウイリアム・テル」に想いが深いのですが。
『ウイリアム・テル』は五時間の長帳場にもかかわらず、拍手喝采。たちまち名作、古典となったのであります。あまりにも真に迫っていたから。
この劇の「ウイリアム・テル」に感動したのが、イタリアのロッシーニ。なんとしてもオペラに、と。それが、『ウイリアム・テル序曲』。「序曲」とは申しますが、たいへんに長いのですが。これまた、今や古典でありましょう。
ウイリアムが出てくるミステリに、『最後に笑った男」があります。1980年に、フリーマントルが発表した物語。

「ホワイトハウスには七時半に着いた。ファウラーは待っていた。」

この「ファウラー」は、アメリカ大統領という設定。そして名前が、ウイリアム・ファウラーなんですね。『最後に笑った男』にはこんな描写も出てきます。

「ときには一日のうちの時間に合わせてスーツを替え、暑さにめげずチョッキを着る習慣を捨てなかった。」

これは打ち上げ基地の所長、ディーター・マラーの着こなし。いつでも、ウエイストコートを着ているのでしょう。
なにか好みのウエイストコートを着て、「ウイリアム・テル序曲」のレコードを探しに行くとしましょうか。

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