ベルギーとベルト

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ベルギーは、ビイルの美味しい国ですよねビイルの都と言って良いでしょう。
まず第一に、多くの銘柄があります。そしてひとつひとつの銘柄の個性がはっきり主張されています。
それぞれの銘柄によって、それぞれのビア・グラスで出されるのも特徴のひとつでしょう。
ベルギー・ビイルのひとつに、「オルヴァル」があります。オルヴァル修道院で造られているので、「オルヴァル」。オルヴァル修道院では、この一種類のビイルしか造っていません。
1076年のこと。あるイタリアの伯爵夫人がオルヴァルの、マティルドの泉を訪れて。大切にしていた結婚指輪を湖に落として。そこで、伯爵夫人は言った。
「もし指輪が戻ってきたなら、お礼に立派な修道院を建てましょう。」
と、一尾の鱒が指輪を口にくわえて、水面に。伯爵夫人は約束通り、オルヴァル修道院を建てたんだそうですね。

ベルギーを旅したお方に、犬養道子がいます。犬養道子は昭和二十三年から、留学。その時の紀行文は、『お嬢さん放浪記』に詳しく出ています。

「ベルギーで降りる人たちのための検査は、アントワープのちょっと手前で行われた。その日の検査は中々きびしかった。」

これは国境を越える時の手荷検査のこと。犬養道子は列車で、当時住んでいた巴里に帰ろうとしている時の話として。
その時の犬養道子は、オランダで買ったストーブを持っていた。また、友だちからもらったカトラリーを持っていた。もちろん、税金の対象になるものです。
そのうちに検査官がやって来て。犬養道子の相客は、「申告するものはない」。それで調べると、大量の葉巻が出てきて、没収。
犬養道子の番になって。犬養道子は言った。「ストーブを買いました。フォークとナイフのセットを頂きました。」
検査官はいろいろ質問して、犬養道子がまだ若い留学生だと解ってくれたらしい。検査官は、片目をつぶって、「ウイ」と言ってくれた。犬養道子は『お嬢さん放浪記』に、そのように書いています。

『お嬢さん放浪記』には、城をもらった話も。『お城をもらった話』の章題のところに出ています。
フランス、ノルマンディーのことですから、シャトーと言うべきでしょうか。ノルマンディー、カンに近いグランヴィルに建っているシャトー。
ノルマンディーのことですから、美しいりんご園に囲まれた城。ざっと150人くらいは寝泊まりできる広さをもっています。持ち主は、ジャン・ヴァニエ。ジャン・ヴァニエは犬養道子に言う。「城はあなたのものです。」
ただし、ひとつ条件があって。修理代は犬養道子の負担。約三十万フラン。犬養道子はその条件を呑むんですね。
犬養道子はそれから、旅行代理店に行って、広告を出す。
「無料宿泊所を提供」。
すると、ドイツからの大工のツアーの申し込みが。OK。ただし、交換条件として城の修理をしてもらいたい。OK。

「私はベルト専門で発足することにきめた。」

これはアメリカでの話として。カリフォルニアのサナトリウムで、ある海軍士官と知り合いに。その海軍士官は、言う。「古いパラシュートの処分に困っている」。
そこで犬養道子は、「パラシュートの紐の部分が欲しい」。お安いご用。二週間後、海軍士官は、パラシュートの紐の大量に持って来てくれて。
それは美しい、丈夫な帯で。犬養道子はそれを加工して、ベルトに。このベルトが人気で、一本20ドルで売れたそうですね。
どなたかパラシュートの紐で、ベルトを作って頂けませんでしょうか。

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